blog あざみの詩

もう一人の家族

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北アルプスが一望できる高台に父母は眠っております。


※写真はイメージです

時には、早くそっちに行きたいなんて涙したこともありましたが、今年は「元気で頑張っているよ」と報告出来そうです。

毎年お盆は故郷の墓参だけでなく、私には手を合わせる場所があります。
30年近く勤めた2つの特別養護老人ホームの仏壇です。
お見送りした皆様は400余名になります。
自分でも驚くほどの多くの方々です。

其々の施設の仏間で過去帳を開くと、決してすべてではありませんか、お名前、お顔、ご家族、そして垣間見たその方の人生の一片が懐かしく思い出されます。

「施設での晩年はお幸せでしたか?おだやかに旅立たれたでしょうか?」

自分が歳を重ねて皆さんに近い年代になった今だからこそ分かるものがあります。
身体が衰えることの辛さ、もどかしさ、家族と離れた寂しさ、年老いて他人と共同生活する不安等。

当時若くもあり、技術不足で、充分な介護にはほど遠かったのではと反省ぱかりで、お詫びしつつ改めてご冥福をお祈りするのです。


※写真はイメージです

勤め始めた昭和40年代。

どの選挙の立候補者も老人福祉を公約に掲げ、声を大にして叫ぴ、施設職員の待遇も少し改善されました。

そんな時でも、大企業、公務員、教員、児童施設に就職した友人から、どうしてそんな夢の無い職場にといわれて落ち込んだこともあります。

でも、人は生まれ、育ち、生きて、死を迎えます。
その尊い人生の終わりに縁あって共に過ごし看取ることになった方々です。
そして、ご遺族とともに、時には私達職員だけでお見送りするのです。
私はもう一人の遺族であるとと思っておりますし、今も変わることはありません。

令和の時代となりましたが、激動の時代を生き抜き、今日の平和な日本を築きあげて下さった皆さんをお世話する現場は、相変わらず万年人手不足で、ブラックな仕事の代表のように言われ、さらには途絶えることの無い虐待のニュース報道を胸が痛む思いで見聞きしております。


※写真はイメージです

昨年訪れた施設では遺族の方をお招きしての盆供養が開かれておりました。
その中で20数年ぷりにおひとりのご遺族にお会いしました。
かくしゃくとされたお医者さんのお母様にいつも面会にいらして、行事の時は必ず付き添い等でご協力くださった方です。

お母様そっくりに年をとられて、しばし思い出話に花が咲きました。
「思いもかけず母のことをこんなにたくさん語り合えて嬉しかった」と涙ながらに言ってくださいました。

帰り際見送ってくれた主任は、新卒当呼、一番最初に辞めるのではと心配し、指導に苦労した後輩です。頼もしくなっています。

頑張ってね。
皆さんのおだやかな旅立ちはあなた方に託されているのよ。

「誇りを持って」と心から声援を送り、後にしました。

皆さん、また会いにまいります。

大変な勤務環境の中で心身共に疲弊している後輩の皆さん。
自分が選んだ仕事に、夢と意義と誇りを持って頑張ってほしいと切に願っております。

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